釣 行 記
(南の島での夜釣り 第三話)
月日 2009年5月16日(土)〜17日(日)
天候 5月16日 曇りのち時々晴れ
5月17日 曇り
両日とも風がなく曇りにしては暑かった
潮は両日ともにとても速く釣りずらかった
場所 バタムの西(Bintan
Lagoi)へ航程1時間半の大物場
対象魚 ウンガ(Ungga)、ハタ(Grapur)、ケタラップ(ブダイの仲間)、イエローテール
今回は予定外で急遽南の島バタムへ行くことになり、日本での釣りに変えて三度目の夜釣りで憂さを晴らす。
4月26日にバタムに入ったが諸般の事情により5月16日まで待たされることになった。 その間ローカルが釣果情報の収集をして今迄の場所と異なる、ビンタン島近くのビンタン
ラゴイというところで釣れているらしいのでそちらへ行くこととなった。 事前情報では航程1時間半で水深は60mとのことである。 この情報はヘルミンの叔父がこれまた釣りキチらしく先日同場所で5kg、6kg、20kgの大物を上げたとの情報による。 また船賃は仕立てで17,000円と以前の船に比べても安い。 食い物、飲み物、ガソリン代総べて含めても一人2,900円である。 これで大物が釣れたら言うことなしである。
小生は2週間前にこちら用の釣竿を買うことにしし、20kgまで釣れるという大物竿を5,600円で購入した。 こちらの釣りキチは「そんな高いものを買うのか?」という。 何だか新調すると釣れないジンクスが頭をよぎるが、釣れなきゃ飲むまでだ。 こんな話をこちらの連中にするとこちらは逆で新しいものを持ってきた人は釣れるというが、さてどちらのジンクスどおりになるのやらである。
今回もまたヘルミンが「小さなエビを売っている!」と言っているが当てにしていない! 取り敢えず買ってこいとだけは言ってあるが、どんなもんでしょう?!
計画によると13:00に街を出てデュタマスという港を13:30に出港するらしい。 15:00に目的地に着いて釣り開始し、翌朝9:00に帰港するということである。
10日(日)に釣りの仕掛けなどを準備し、今度こそは大物をと十分に気合が入っている。
当日は12:30に迎えに来るはずが予想通り13:30に我が家に全員が集まり荷物の積み替えをして出発した。
今回の港は我が家から20分くらいで近かった。 しかしメイン通りから脇道に入ると車がやっと通れるほどの幅でおまけにデコボコの曲がりくねった坂道で、雨の時はぬかるんで登れないと思われる道であった。 やっとそこを抜けるとオンボロ小屋が2つありそこが船宿であった。 その脇に赤い小さな船が舫っておりこれが今回の船と聞いてこれまた話が違う! 確か大きな船と言っていたはずだが…!
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これが港で〜す 今回の船です
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錨とフロート 簡易ベット
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しかし小さいながらトイレ、ベッド、炊事場があった。 艫の方はコの字に木製の座が備えられ上部はシートで覆われているので雨でも釣りができる。 小生は左舷大ドモに指定され支度をした。 さてヘルミンに預けていたバッテリを貰おうと彼に言うと、彼は目を丸くして固まってしまった! 忘れたのだ! 前日も忘れないように確認したのだが、準備はしたものの朝車に積み込む際に忘れたとのことだ! 今回も手巻きか!
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いざ出港! 叔父はこんなん釣っただョ!
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俺船釣り4回目なんだよなッ! 俺ハルディ!今回も釣りまっせッ!
14:15に出港し航程20分で船は止まり釣りを開始する。 例によってまずはサビキである。 水深は45mとのことである。 投入するとすぐにカマスや小アジが掛った。 しかし潮がもの凄く速くすぐに釣れなくなった。 オモリを重くするがドンドン持って行かれてしまう! 重い仕掛けを早い潮に逆らって巻くのは結構辛い! ヘルミンがバッテリーを忘れなきゃ! あきらめてセッセと巻くがその後はポツポツとしか来なくなった。 オキアミを買って来て貰ったのでそれを潰してコマセでもしようかと思ったが、この潮の速さではコマセが効かないしそれよりコマセのカゴが抵抗になるのでやめた。 こんな状況を見ていた船頭がやっと移動する気になった。 錨を揚げさらに30分ほど走って再び船は止まった。 今度は通常の大物の仕掛けとのことなので昼間用の少し小さめの針で始めた。 しかしここは先ほどよりも潮がさらに速く水深60mなのに100mちかく出て行ってしまう。 そんな状況の中ハルディーがポンピングを始めた?!
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ありゃ!釣れちゃった! アリ!魚はこうやって釣るねん!
彼はお茶目で時折こんな冗談をするから今回の状況から無視していた。 少しして小生のすぐそばを何やら長い魚が引っ張られて上がってきた。 ハイロイ(Hailoi)と言うらしいが見たこともない魚であった。
その後は長〜い、長〜いなんの反応もない時間が過ぎた! 日も傾き随分凌ぎやすくなった頃船長が「移動するドォ〜!」と声で皆仕掛けを上げた。 それと同時に周りに人がいなくなった? 振り返ると我先にベッドに潜り込み仮眠である。 小生は仕方なく木のベンチの上に横たわったが、船が走るので潮風が気持ちよかった。 小1時間走って今回の目的地ラゴイに到着した。 ここは前回と違いビンタンの島やマレーシアの陸が見えて何んとも釣れる気がしないところであった。 船頭によると先日ヘルミンの叔父がここでハタの20kgを上げたとその時の写真を見せてくれた。 これはでかい!
このとき船頭の助手がサビキで上げた魚を揚げて持ってきてくれた。 カマスはとても旨かった。 小アジは頭ごと食ったら驚かれたが、皆もまねて丸ごと食い出した。 ここで夜釣りに入る前にと夕食にした。 今回も油紙にポロポロのライスと鳥のモモの唐揚げだ! うまく食えず溢しながらもともかく腹に押し込んだ!

さていよいよ期待を込めて第1投! ウムッ?!速い! 今までにも増して潮が速い! いくら道糸を出しても底が取れない?! オモリをさらに重くしてやっとどうにか底に到着するが道糸は60度の角度である。 さてタナをどうやって取ろう?少し底を切るとすぐに吹け上がる! 50cm〜1mあげてみる。 こんな探りをしながら
とぼてけるの俺? 待って、待って、待って、長〜い時間が過ぎた。 しかし誰にも何も来ない?! そんなとき小生が底を取ろうと仕掛けを下すがそこに着かない?! 糸はどん出てゆく?! 回収! と出した糸を時間を掛けて巻いてくると大物?とはとても言えない小さな魚が付いていた。(22:00) 魚はいた! しかし大物の地合いは00:00を過ぎてと思い再投入をする。 何頭目かに底を切ろうと竿を煽ると何だか重い! ヒョットしてと思い竿を大きく煽るが根掛かりである! 仕方なく道糸を持ってゆっくり引っ張るとフッと軽くなった。 回収するとサンゴが付いてきた。 他のメンバーも同じで根掛かりばかりである。 そんなことを繰り返していたらビクともしない根掛かりになってしまった。 隣のスリアントウも同じように根掛かりした。 二人でエンコラ綱引きをしたがどうやらテンビンが引っ掛かった模様である。 ウントモスントモしない! やれやれこれは困った! 道糸を緩めたり張ったりするが全く動く気配がない。 そこに船頭の助手が来て頼みもしないのに道糸を取って丸い輪っかに巻いてゆく。 道糸は風に唸り出した! 「やめて!そんなことしたら道糸が切れる!」と言ったときは時すでに遅く「ブチ!!」 ア〜ァ! 嘆きながら残った道糸を回収していると隣のスリアントウの道糸も「ブチ!!」 この野郎!海に突き落としたろか! 日本から持参の唯一のテンビンもなくし戦意喪失!である。
ド頭にきて道具を片付けベットで寝ることにした。 しかし通路のドアは開け端になっているが中は蒸し暑く汗が滴り落ちる。 そのうちウトウトしていたら何だか痒く虫でもいるかと見るが何もいない?! 更に寝るがいよいよ暑く我慢できなくなったので起き出して皆の様子を見にゆくと、スリアントウが2kg弱、1kg弱のケタラップを3匹釣っていた。
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俺スリアントウ!これケタラップ! ネッ!やるときゃやるでしょ!
しかし彼らは俺を見るや興奮して何やらしゃべっている。 聞くといつのまにか隣に来た小舟のゲスト(一人だけ)が10kgくらいのハタを上げたとまくし立てる。 しかし今日の小生は戦意喪失で興味ないもんね〜! その後もスリアントウ、シアンが小型のケタラップを上げた。
皆は今潮が少しトロクなったからやれと言うが、こちらにゃテンビンがないのだ! するとヘルミンが俺が買って来てやったテンビンを貸してくれると言うので、それで仕掛けを作り直して始める。 久し振りに仕掛けを投入する! アレ?潮はトロイのではないのか? いつの間にか潮の流れは逆になったが、先程と同じくらい速くなっている! 何のこっちゃ?! このまま朝まで誰にも何も来なかった。 いつのまにか隣にいた小舟はいなくなっていた。
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俺だって!釣ったもんね! 俺スライマン!これがガラプーだ!
ヘルミンがこれじゃつまらないのでサビキをしに行こうと船頭に交渉して移動することになった。
1時間以上走ってバタムのすぐ近くまで戻って船は止まった。 でもその近さは陸にいる人の顔が見えるほどの近さにビックリ! 何じゃこりゃ? 皆は何も言わずサビキを下す。 仕方ないので小生も出してみると水深10mである。 もうやる気がない! すると小さなカマスとこれまた小さな小アジが来た。 それも一瞬でその後は何も来なくなった。 そこでまたヘルミンがもう少し沖へ行こうと船頭に話して沖へ出る。 すると今度は潮が速く釣りにならない。 もうこの時点で道具を片付けヘルミンに帰ろうと言うがあと30分と言って続行している。 時間になったので帰ろうと促すが、あと30分だって! 勿論その間何も釣れない! 小生は11時にマッサージを予約しているので気が気ではない! 小生はヘルミンを無視して船頭にGo
back! 結局帰港は30分遅れの9:30であった。 とっとと荷物を積み込み帰路に就いたがヘルミンは帰り道を間違いまたロスタイムである! 我が家で解散となり小生はシャワーをしてドライバーを呼んでマッサージに向かった。 勿論2時間獏睡である。(料金は700円)
翌日首筋、耳たぶ、ひじの内側と皮膚の柔らかいところがただれている! 昨夜船のベッドで寝て痒いと思ったが、案の定やられていた! これから殺虫剤持参かよ!
今回でバタムの夜釣りは三連敗である。 やはり日本のジンクスの勝ちであった。 勿論早急にリベンジを計画せねばならない!
以上