○田師匠


漁日・・3月某日

 釣 行 記 

(南の島での夜釣り 第二話) 

月日    2009年3月21日(土)〜22日(日)

天候    3月21日 薄曇り そよ風

       3月22日 薄曇り 朝スコール そよ風

       波は殆どなかったが21日18時から23時までほんの少し波立つ

       潮は21日の昼は早かったが夕方から翌朝まで止まった

場所    バタムの南へ航程3時間の大物場

メンバー  Sulaiman、Hermin Tan、Suryanto Chang、Ahan、Hardi、Fukudaの6名

対象魚  ハタ(Grapur)、フエダイ(Snapper) 

 2週間前の釣行でバタムの釣りが大体判ったので早速次の釣行を催促することにした。 実は休日は暇を持て余すようになり困っていたのである。 うまい具合に釣り仲間とはコミュニケーションもとれてきたので、一人に声を掛けると瞬く間に情報が伝わり今週行こうということになった。 前回の逃がした魚以上の大物(グラプウ)を狙うため航程2〜3時間の場所へ行くことになった。 どうやら船宿も違うらしい。 こりゃいよいよ面白くなってきた! 前回の反省は昼のエビ餌の対象魚はでかい口ながらチャンと針を銜えるが、夜釣りはエサもでかいが魚もそれを一のみにして歯が鋭くハリス切れになった。 どうやら今回のハタはそれにも増して凄いらしい! ヘルミンなどはワイヤーを購入したそうだ! 他の連中もバカ太いハリスを使っている。 小生は8号のハリスしかないのでPEの道糸を少し切って二つ折りにして撚ったものを針のチモトに使うことにした。 久し振りに縄を編む要領でやったが我ながら見事な出来栄えに満足している。 これで切られたら悔いはない!

 そうそう前回はあまりに早い出発だったので今回は15時くらいにしてくれと頼んだ! 意外に皆快くOKしてくれたのでホッとしている。 彼等も結構きつかったのであろうと思った。 これで前日はゆっくり飲めるッと!

  20日(金)の終業後ヘルミンが来て「明日はホテルに10:00に迎えに行くョ!」だって?! ナヌッ?出船は15:00だろうが・・・! あの約束は何だったの??? どうもこちらの人間の考え方は判らん?! 

 今回は自前のビールとおつまみを準備し不眠釣行に備えた。 また前回の教訓で夜中に寝なくてよいように早めにやすむ。 しかしAM1:00にホテルの客が外出から戻り廊下で大きな声で騒ぎ起こされた。 AM2:00にホテルの警備員が自分のバイクを修理しているらしくグラインダーの音がうるさく目が覚める。 フロントに文句を言ったが30分してもおさまらない! 仕方がなく窓を開けて「うるさい!」と怒鳴ったら「OKボス!」だって! しばらく静かだったが場所を変えたのであろう音は小さくなった。 ところがこちらはすっかり目が覚めてしまい4時くらいまで眠れなかった。 やっとウトウトしかけたら今度はニワトリや犬の鳴き声だ! 結局3時間くらいの睡眠で7:30に起きることにした。 今日はついていない! 

 9:45にヘルミンから電話で10:30にピックアップに行くと連絡があった。 やはり10:00の迎えが30分遅れた。 段々こちらのペースにはまりそう! 前回と同じようにヘルミンとスリャントウが迎えにきて出発したがマーケットに寄るという?! 聞くと小さなエビを探すという。 今週初めに「小さなエビを1kg入手した!」と聞いたので8kg入手するように言っておいたのだが、その後マーケットに出ていなかったとのことで探すという。 結果は予想どおりなかった。 仕方がないので勝負どころでコマセをすることにした。 

 出発後前日小生がビールを買った店に寄り水とカップラーメン、パンなどを購入した。 オイオイ昨夜俺がわざわざこの店に来てビールを買った意味は何なんだ! ここに寄るなら寄ると言えよ! こちらの計画性のなさは判ってはいるものの頭にくる!  

 やっと車は南下して「バドミンドウ」のある「むかくにん」を過ぎた辺りで後続の車から連絡があった。 するとヘルミンは急に車を路肩に停め何やら真剣中を出話し始めた。 事故でも起こしたのであろうか? 聞くと同行予定のアハンが家庭のトラブルで未だ出発をしていないとのことだ。 取り敢えずバレランの二番目の橋で釣りをしているところに行き彼等を待つことにした。 

 橋の下はとても速い潮が流れておりそこにサビキの仕掛けを投入して小さな魚を釣っていた。 時折ダツやアジの中型等も掛けていた。 時間潰しをしていると我々の背後をけたたましいクラクションを鳴らしながら通り過ぎた車があった。 それに反応してヘルミンがすぐに出ると言い出した。 どうやら先程の車は仲間の後続車らしい。   それから30分ほど走り道路から脇道に入った。 ウムッ?ここは前回と同じところだ! 今回は違う船だと言っていたのに、同じ船着き場に向かっている。 船を付けるところは2隻分しかないが前回と違う船のことなのだろうか? しかし船着き場には船は来ておらずとりあえず荷物を降ろすことにした。 しかし一向に船は来ないので昼食をとることにした。  

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このブラウザではこの画像を表示できない可能性があります。        これが船着き場です

  それでも来ないのと暑くてたまらないので小生はビールを飲むことにした。 すると暫くすると前回の船が来て横付けした。 しかし荷物を積みこまないのでどうやらこの船ではなさそうだ。 そこに車が2台到着して彼等の荷物を積み始めた。 どうやらシンガポール人の組らしい。 そこへ一回り小さな木造船がきてその横へ付けた。 すると人足が我々の荷物を積み始めて小生に早く船に乗れという。 乗ると幅が狭く後ろのデッキは二人しか座れない。 おまけにキャビンもトイレもない! こんなもんかと諦めて仕度に入る。 

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例によって荷物を積み込むとすぐに出船して小さな島々を縫って進む。 しかし今日は薄曇りだが暑い! メンバーは前回同様ペチャクチャとよく喋り大声で笑っている。 20分も走ったころ急にエンジンの回転数が落ちた。 前方を見ると海に突き出た木製の桟橋がありそこへ付けるようだ。 ここでまた客を乗せるのかと聞くと、船長が乗ってくるのだそうだ。 ということは今まで誰が操船していの? それは船のお手伝いさんでした。 

 そこからは勿論船頭が操舵し大海原へ走り出しとうとう陸地は見えなくなってしまった。 航程2時間くらいであろうかスローダウンしポイントを確かめて停船した。 アンカー投入後船頭が「サビキ!」と叫んだ。 何だ??サビキだ?? 今回は大物だろうが・・・?!?! そんな!サビキなんか持ってきちゃいねェョ! 小生以外は全員サビキで一投目からあちこちで歓声が上がり、25cmくらいの魚がそこら中に散らばり始めた。

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   広い海名のみすぐ傍に来ている        サビキキングのスプリアントウ

  どうせサビキじゃ獲物は小さいからと小生は大物仕掛けにエビを付けて投入した。 水深は33mと浅く大物の期待はないが誘いを掛けながら待つと、弱い当たりがあって上がってきたのは俗称「小姐」と呼ばれる30cmの魚であった。 やはりサビキより一回り大きい。 しかしこの日も潮は早く80号くらいのオモリを使用した。 日中はサビキ釣りらしく一向に場所替えをするつもりはないらしい。 小生はあほらしくなり荷物置き場で寝ることにした。 しかし彼等の大きな声でのおしゃべりや歓喜の声でとても寝入るまでにはいかなかった。 しばらくすると当たりも遠のいたのか静かになりやっとウトウトした。 17:00くらいになると随分凌ぎ易くなったので、右舷大ドモで大物に備えて仕掛けを変更して待機した。 左右にはいつの間にか前回の船と他船が25mくらい離れて釣りをしていた。

  18:30辺りは暗くなり唯一の蛍光灯が灯ったが船は大物場へ行く気配がない?! メシ!と声をけるとなぜか皆一斉に夕食の準備に入った。 今回はヘルミンの奥さん手作りの弁当だ! 鳥の唐揚げとジャガイモの丸茹でだが、日本で食べるのとまったく同じジャガイモの丸茹でがとてもとても美味しく感じヘルミンの分まで食ってしまった! もう完全に日本食に飢えているといった状態だ。 今日本食で誘われたら入れ食い状態だ! 

  夕食を食い終わったころやっとエンジンが掛かりいよいよ大物場へ向かう! するとヘルミンがきて「大物場は凄い雨で釣りにならないから、カスミアジが釣れる所に行くそうだ」と言ってきた。 カスミだろうがアラレだろうが大物釣れればよい! 航程30分のところで停船した。 真っ暗闇で空には物凄い数の星が出ていた。 こちらの星は日本と違って瞬かない! 勿論サザンクロスもはっきりと見えている。

  いよいよ大物釣りの開始である! 仕掛けを投入してラインを確かめると真下に落ちている? アリャ?潮が全く流れていないド? オモリを軽くしてみるが真下に落ちて行く! まあそのうちに流れ出すだろうから今のうちにいろいろと確認しておこう。 

   1時間経ったが潮は流れない? そのうち先程の船もやってきて3隻が並んで大物に挑戦する。 少し流れたときにアハンがミヨシで叫んでいる!どうやら大物が来たらしい! 船頭も興奮気味に何か叫んで助手に指示している。 しばらくして水面に現れたのは1m近くある大物であった。 しかしその後絶叫が響き渡った!バレてしまった! アハンが来て「助手が玉網で魚を突いてバラした!」とわめいている! その気持ちはよく判るョ! 気が済むまでわめけ! こちらも段々その気になってきたぞ! 付けエサを新しくして気合を入れて待つ! するとコツコツコツ、当たりである!もうすぐ竿が突っ込むとワクワクして待った。 ところがそれだけであとは何の変化もない?! 変だと思って仕掛けを回収すると何と20cmくらいの「小姐」が付いていた。 ガックリ! 気を取り直して再投入する。 しかしその後は「小姐」の当たりすらない! 周りを見渡すと皆もシラ〜ッとしている。 21:00になっても潮は相変わらず動かないし大物は夜中を回ってからなので、小生はまた荷物置き場に行きゴロリと横になった。 今回は寝過さないようにと11:45に起きて再度始めた。 しかししかししかしまだ潮は動かない! どうして? すると横の前回の船で歓声が上がった! 結構大物のようである。 しばらく見ていると船に引き揚げたあと棍棒で何度も殴っている。 さてはサメだな! サメがいるということは獲物もいるということだと気合を入れて待つ! 待つ! そして待つ! でも一向に竿に当たりは出ない!

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    これが5kgのスティングレイ!           こちらは定番のサメ!

  00:15ハルディがギャアギャア言いながら竿を懸命に捲きだした! 竿の曲がりからして結構な大物だ! 助手も来てフォローをするがどんどん糸が出て行く。 それをまた巻く。 それを繰り返すこと5分、上がったのはエイ(スティングレイ)それも5kgもある奴だ! 当船もこれで息を吹き返し皆気合が入った。 

  しかし1:00を回り2:00になっても潮は動かず竿もピクリともしない! その時舳先の方で歓声が上がった! どうやら船頭が何やら掛けたようだ。 人の事にゃ構っちゃいられない! 何たって夜は雑魚しか釣れていないのだから。 何とか掛かれと念じるが無情にも3:00を過ぎても潮は全く動いてくれない! さすがに眠くなりまた荷物置き場へ向かって横になった。 気が付くと空が白んでおり6:00であった。 皆もそれぞれの格好で寝ていた。 

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      ヘルミンとハルディ           トド!失礼スライマンとスプリアントウ

  小生が起きて釣りを始めるとミヨシからアハンが飛んできて皆を起こし船の移動を告げた。 最後に朝まづ目をやるというのでとても期待が高まる。 しばらく全速力で走り始めたがポツポツと雨って奴が降ってきた! 荷物置き場のシートを降ろし降り込まぬようにしてさらに走る。 するとどんどん雨足は強まり土砂降りである。 きっとこのまま走ってスコールを抜けたところでやるんだと思い、荷物置き場に全員固まって座っていた。 すると何だかお尻が冷たい?!手をやると濡れている?! 見ると雨水がどこからか侵入してきている。 小生は慌てて近くにあったビニールを引いて座ったが、他の連中はこんなことには慣れっこなのだろう濡れるに任せている。 船はそのまま走り続け何と桟橋に帰ってきてしまった。 雨が止むのを待つのかと思いきや、これでおしまいだって!7:00である! 道具を片付けていると船頭が前から魚を持ってきてこれを持って帰れという。 見るとでかいカスミアジとバラクーだが2匹とこまいのが一杯である。 どうしたのかと聞くと今回釣ったのだという。 これらを持って皆で記念撮影である。 このカスミアジはアビリンさんに上げることにした。 

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      さすが船頭に釣果!             皆さんの夜釣りは「坊主!」

  帰路アビリンさん宅に寄ると彼はシンガポールに帰っており母上が出てこられたので差し上げて我々も帰った。  

  翌日の昼食にエイヒレの料理をキャンティーンでしてもらい、皆で食ったが意外にも美味かった! シンガポールでは高額で売っているそうである。 
 

  以上


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