これが船着き場です
それでも来ないのと暑くてたまらないので小生はビールを飲むことにした。 すると暫くすると前回の船が来て横付けした。 しかし荷物を積みこまないのでどうやらこの船ではなさそうだ。 そこに車が2台到着して彼等の荷物を積み始めた。 どうやらシンガポール人の組らしい。 そこへ一回り小さな木造船がきてその横へ付けた。 すると人足が我々の荷物を積み始めて小生に早く船に乗れという。 乗ると幅が狭く後ろのデッキは二人しか座れない。 おまけにキャビンもトイレもない! こんなもんかと諦めて仕度に入る。

例によって荷物を積み込むとすぐに出船して小さな島々を縫って進む。 しかし今日は薄曇りだが暑い! メンバーは前回同様ペチャクチャとよく喋り大声で笑っている。 20分も走ったころ急にエンジンの回転数が落ちた。 前方を見ると海に突き出た木製の桟橋がありそこへ付けるようだ。 ここでまた客を乗せるのかと聞くと、船長が乗ってくるのだそうだ。 ということは今まで誰が操船していの? それは船のお手伝いさんでした。
そこからは勿論船頭が操舵し大海原へ走り出しとうとう陸地は見えなくなってしまった。 航程2時間くらいであろうかスローダウンしポイントを確かめて停船した。 アンカー投入後船頭が「サビキ!」と叫んだ。 何だ??サビキだ?? 今回は大物だろうが・・・?!?! そんな!サビキなんか持ってきちゃいねェョ! 小生以外は全員サビキで一投目からあちこちで歓声が上がり、25cmくらいの魚がそこら中に散らばり始めた。

広い海名のみすぐ傍に来ている サビキキングのスプリアントウ
どうせサビキじゃ獲物は小さいからと小生は大物仕掛けにエビを付けて投入した。 水深は33mと浅く大物の期待はないが誘いを掛けながら待つと、弱い当たりがあって上がってきたのは俗称「小姐」と呼ばれる30cmの魚であった。 やはりサビキより一回り大きい。 しかしこの日も潮は早く80号くらいのオモリを使用した。 日中はサビキ釣りらしく一向に場所替えをするつもりはないらしい。 小生はあほらしくなり荷物置き場で寝ることにした。 しかし彼等の大きな声でのおしゃべりや歓喜の声でとても寝入るまでにはいかなかった。 しばらくすると当たりも遠のいたのか静かになりやっとウトウトした。 17:00くらいになると随分凌ぎ易くなったので、右舷大ドモで大物に備えて仕掛けを変更して待機した。 左右にはいつの間にか前回の船と他船が25mくらい離れて釣りをしていた。
18:30辺りは暗くなり唯一の蛍光灯が灯ったが船は大物場へ行く気配がない?! メシ!と声をけるとなぜか皆一斉に夕食の準備に入った。 今回はヘルミンの奥さん手作りの弁当だ! 鳥の唐揚げとジャガイモの丸茹でだが、日本で食べるのとまったく同じジャガイモの丸茹でがとてもとても美味しく感じヘルミンの分まで食ってしまった! もう完全に日本食に飢えているといった状態だ。 今日本食で誘われたら入れ食い状態だ!
夕食を食い終わったころやっとエンジンが掛かりいよいよ大物場へ向かう! するとヘルミンがきて「大物場は凄い雨で釣りにならないから、カスミアジが釣れる所に行くそうだ」と言ってきた。 カスミだろうがアラレだろうが大物釣れればよい! 航程30分のところで停船した。 真っ暗闇で空には物凄い数の星が出ていた。 こちらの星は日本と違って瞬かない! 勿論サザンクロスもはっきりと見えている。
いよいよ大物釣りの開始である! 仕掛けを投入してラインを確かめると真下に落ちている? アリャ?潮が全く流れていないド? オモリを軽くしてみるが真下に落ちて行く! まあそのうちに流れ出すだろうから今のうちにいろいろと確認しておこう。
1時間経ったが潮は流れない? そのうち先程の船もやってきて3隻が並んで大物に挑戦する。 少し流れたときにアハンがミヨシで叫んでいる!どうやら大物が来たらしい! 船頭も興奮気味に何か叫んで助手に指示している。 しばらくして水面に現れたのは1m近くある大物であった。 しかしその後絶叫が響き渡った!バレてしまった! アハンが来て「助手が玉網で魚を突いてバラした!」とわめいている! その気持ちはよく判るョ! 気が済むまでわめけ! こちらも段々その気になってきたぞ! 付けエサを新しくして気合を入れて待つ! するとコツコツコツ、当たりである!もうすぐ竿が突っ込むとワクワクして待った。 ところがそれだけであとは何の変化もない?! 変だと思って仕掛けを回収すると何と20cmくらいの「小姐」が付いていた。 ガックリ! 気を取り直して再投入する。 しかしその後は「小姐」の当たりすらない! 周りを見渡すと皆もシラ〜ッとしている。 21:00になっても潮は相変わらず動かないし大物は夜中を回ってからなので、小生はまた荷物置き場に行きゴロリと横になった。 今回は寝過さないようにと11:45に起きて再度始めた。 しかししかししかしまだ潮は動かない! どうして? すると横の前回の船で歓声が上がった! 結構大物のようである。 しばらく見ていると船に引き揚げたあと棍棒で何度も殴っている。 さてはサメだな! サメがいるということは獲物もいるということだと気合を入れて待つ! 待つ! そして待つ! でも一向に竿に当たりは出ない!

これが5kgのスティングレイ! こちらは定番のサメ!
00:15ハルディがギャアギャア言いながら竿を懸命に捲きだした! 竿の曲がりからして結構な大物だ! 助手も来てフォローをするがどんどん糸が出て行く。 それをまた巻く。 それを繰り返すこと5分、上がったのはエイ(スティングレイ)それも5kgもある奴だ! 当船もこれで息を吹き返し皆気合が入った。
しかし1:00を回り2:00になっても潮は動かず竿もピクリともしない! その時舳先の方で歓声が上がった! どうやら船頭が何やら掛けたようだ。 人の事にゃ構っちゃいられない! 何たって夜は雑魚しか釣れていないのだから。 何とか掛かれと念じるが無情にも3:00を過ぎても潮は全く動いてくれない! さすがに眠くなりまた荷物置き場へ向かって横になった。 気が付くと空が白んでおり6:00であった。 皆もそれぞれの格好で寝ていた。

ヘルミンとハルディ トド!失礼スライマンとスプリアントウ
小生が起きて釣りを始めるとミヨシからアハンが飛んできて皆を起こし船の移動を告げた。 最後に朝まづ目をやるというのでとても期待が高まる。 しばらく全速力で走り始めたがポツポツと雨って奴が降ってきた! 荷物置き場のシートを降ろし降り込まぬようにしてさらに走る。 するとどんどん雨足は強まり土砂降りである。 きっとこのまま走ってスコールを抜けたところでやるんだと思い、荷物置き場に全員固まって座っていた。 すると何だかお尻が冷たい?!手をやると濡れている?! 見ると雨水がどこからか侵入してきている。 小生は慌てて近くにあったビニールを引いて座ったが、他の連中はこんなことには慣れっこなのだろう濡れるに任せている。 船はそのまま走り続け何と桟橋に帰ってきてしまった。 雨が止むのを待つのかと思いきや、これでおしまいだって!7:00である! 道具を片付けていると船頭が前から魚を持ってきてこれを持って帰れという。 見るとでかいカスミアジとバラクーだが2匹とこまいのが一杯である。 どうしたのかと聞くと今回釣ったのだという。 これらを持って皆で記念撮影である。 このカスミアジはアビリンさんに上げることにした。

さすが船頭に釣果! 皆さんの夜釣りは「坊主!」
帰路アビリンさん宅に寄ると彼はシンガポールに帰っており母上が出てこられたので差し上げて我々も帰った。
翌日の昼食にエイヒレの料理をキャンティーンでしてもらい、皆で食ったが意外にも美味かった! シンガポールでは高額で売っているそうである。
以上